中小企業が3年後に必要な 人財を今から採用

「月50万円も求人広告費をかけたのに欲しい人財が全く採用できない。」、「紹介会社に手数 料を100万円も払ったのに3ヶ月で退職された。」、「ハローワークに求人票を出してもまった く応募者がこない。」こんな悩みをお持ちの中小企業経営者は少なくありません。どうしたら あまりお金をかけずに欲しい人財を採用できるか、そのヒントをお伝えします。

1.なぜ中小企業が人財採用に苦戦するのでしょうか

最大の要因は人口減少です。2002年の成人数が152万人 であったのに対し、2022年の成人数は120万人と約32万人 も減っています。そして、2021年の出生数は84万人であっ たため、20年後の2042年の成人数は、84万人以下となるこ とが確定しました。
 コロナ禍前は、採用に困っている企業が多く、「人手不足 倒産」という言葉もよく聞かれました。特に中小企業は大変 苦戦を強いられていました。
 統計によると、2020年の新卒採用において、従業員5,000 人以上の大企業の求人倍率が0.42倍なのに対し、従業員300 人未満の中小企業の求人倍率は8.62倍という結果となってい ました。9社近くで1人の学生を取り合っている状況です。  「コロナ禍の影響で、今はそれほど採用に困らないのでは ないか。」思う方もいるかと思いますが、そんなことはあり ません。
 コロナ禍の影響が続いている2022年3月の求人倍率は 1.16倍であり、これは、リーマンショック後の求人倍率0.42 と比べると、2.7倍も高い求人倍率になります。コロナ禍に より一部業種の求人が一時的に減っているものの、全体とし ての求人は依然として多いということです。

2.今から3年後を見据えた採用が必要な理由
 中小企業は、常に「人の採用定着」に課題を抱えています。 社員が退職→急いで欠員募集→応募が来ない→とりあえず応 募してきた人を採用してしまう→少ない母集団から採用したため、適切に選抜できていない→すぐ退職→またあわてて欠 員募集といった負のループに陥っています。
 社員が何度も辞めると、周りの社員も疲弊してしまいます。 このような状況では、社長を補佐するナンバー2を展望する 人財など当然育ちませんし、3年後の事業展開を考えるどこ ろか、日々の業務で手一杯になってしまいます。
 こういった欠員補充の採用は、「緊急かつ重要な採用」で すが、3年後の事業展開を考えたときに、やるべきは「重要 だが緊急でない採用」です。今すぐ人が足りないわけではな いが、求人は出しておき、良い人がいたら採用するというス タンスの採用です。
 なぜ、「重要だが緊急でない採用」が必要かいうと、「欠員 補充で1、2カ月の短期間に募集」をするよりも、「長いス パンで募集し、良い人を集める」といったアプローチの方が、 良い人財を選びやすいからです。
 そもそも良い人財は、今はどこかの会社で働いているので、 なかなか転職市場には出てきません。だからこそ、長いスパ ンで待ち構え、「良い人がいた」といった時に採用するスタ ンスの方が、ナンバー2となってもらうべき人財が採用しや すくなります。
 会社の今の組織図と3年後の目指すべき組織図を書いてみ てください。
 3年後はどう変わりますか。新規事業の状況は、幹部は何 歳ですか。今の若手社員は何歳ですか。事業は大きくなって いますか。
こうして3年後を考えてみると、どんな人財が不足してい るかが浮き彫りになります。
 その人財を今から募集できたら会社の未来は明るくなると は思いませんか。
 求人は焦ると失敗します。だからこそ、3年後を見据え、 今から足りない人財を明確にし、採用活動を行うべきです。時間軸が長い分、よい人財が確保しやすくなります

3.採用コストをどう抑えるか
求人に際してハローワークを使う会社は多いと思います が、なかなか思うように応募者が集まらりません。
 若い人を中心に、今の求職者はハローワークをあまり利用 しなくなってます。
 スマホの普及により、「ハローワークに行って仕事を探す」 から、「スマホで検索して仕事を探す」という行動へ変化し ているからです。実はハローワークもスマホを用いてシステ ムで仕事を検索できるのですが、それを知っている事業主は 少ないようです。
 結果として、ハローワークで応募者を集められなかった会 社は、人財紹介会社や求人広告を利用しますが、その利用料 の高さに悩まされます。
 人財紹介と求人広告は高額です。一般には人財紹介会社は 年収の30%前後、一部職種や有資格系人財で、年収の100% という高額な報酬体系の紹介会社もあります。
 こうした人財需要を背景に、人財紹介会社や求人広告会社 は大きな収益を上げています。
 それでは、どんな媒体を使うとコスパよく良く応募者を集 められるのか。それは無料の職業検索サイトです。今の求職 者の「スマホでの仕事の探し方」に、マッチしているからです。

4.なぜ応募者が来ないのか
 皆さんは、無料職業検索サイトで自社の求人を見つけるこ とはできるでしょうか。
 もちろん、「自社名+求人」というキーワードで検索して はいけません。なぜなら、有名企業でもない限り、社名を入 れて求人を探す求職者はいないからです。「営業+求人+地 名」といったような、求職者が検索しそうなキーワードで、 探してみてください。
 ここで貴社を見つけられないということは、求職者は「貴 社が求人をしていることを知りようがない(応募しようがな い)」という事になります。その場合、求人広告や紹介会社 に依頼するのが最も簡単ですが、それは従来のやり方であり 何も変わりません。
 その上で、無料職業検索サイトの中で求職者に自社を見つ けてもらう工夫をする必要があり、競合先(採用のライバル) を把握しておく必要があります。
 また、漠然と「いい人が欲しい」では応募者は集まりませ んので、ペルソナ設定をすべきです。
 つまり、「採用ペルソナ(どんな人がほしいか)」を明確に することで、自社にフィットする人財の応募が集められ、採用後のミスマッチを防ぎ、早期離職を防止する事に繋げられ るからです。
 採用ペルソナを決めて、理想的な人財を採用し、定着して もらうために、現在在籍している従業員が辞めずに働く理由 を可視化することが重要です。なぜなら、「従業員が働く理由」 は、事業所の雰囲気や支援のスタンスと密接に繋がっている からです。

5.なぜ面接に来てもらえないのか
「応募はあったが、面接には来てもらえない」「面接をキャン セルされた」といった悩みはありませんか。
 会社や業種にもよりますが、応募者が面接にきてくれる割 合は約3割といわれています。
 応募者が面接に来てくれない原因は「ライバルの存在」で す。つまり、その応募者は他の求人先にも応募しているので、 いかにそこよりも早くアポイントを取り付け、自社の魅力を 伝えられるかがポイントとなります。求職者が応募して来た ら数分以内に電話しましょう。
 求職者はスマホで仕事を探している人が多いので、応募直 後にはスマホを手に持っているためすぐに電話をかければコ ンタクトできる確率が高まります。
 また、求人に応募した時点が一番求職者の気持ちが盛り上 がっています。応募時点がピークで、そこから気持ちは徐々 に落ち着いてきます。
 応募直後の気持ちが盛り上がっているタイミングに電話を かけることで、面接のアポイントがとりやすくなります。
「ほしい人財を見抜く面接のやり方」、「内定を辞退されにく くする方法」、「すぐに辞められないようにする方法」につい ては別の機会があればお伝えします。

PAGE TOP